国民審査用の裁判官比較表(スマホ・ケータイ用要約はこちら
下の表を見て「どうしても賛成できない意見の持ち主」を見つけたら
22日の衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査に行って、国民審査でその人(達)だけに×をつけよう!

最高裁の判例データベースで10月7日までに検索できた判例のうち、判事の意見が分かれたものを全て時系列で並べています。
ただし1件は論点(証言の信用性)に一般性がなく、事件の重大性もないと判断して除き、
選挙無効請求事件の判決は衆参とも2つの判決に分かれていますが、裁判官の意見を比較する上では同一に見えますからそれぞれ一方だけを採用しました。
空欄は担当外または任官前であることを示します。
裁判官名 大谷直人氏 小池裕氏 木澤克之氏 菅野博之氏 山口厚氏 戸倉三郎氏 林景一氏 多数意見 反対意見・意見
平成27年11月25日大法廷・選挙無効請求事件 多数意見 多数意見           『本件選挙(サイト管理者注:平成26年総選挙)時において,本件区割規定の定める本件選挙区割りは,前回の平成24年選挙時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったものではあるが,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,本件区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできない。』
いわゆる「違憲状態」
14人中3人(いずれも国民審査対象外)が反対
大橋氏『本件選挙は本判決確定後6か月経過の後に無効とするのが相当』
鬼丸氏『本件選挙についてその違法を宣言することが相当』(いわゆる「違憲」)
木内氏『東京都第1区の選挙人数の2分の1を下回る(中略)12の選挙区については選挙無効とされるべき』
なお他に2人(国民審査対象外)が『本件選挙当時,本件選挙区割りが憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたということはできない』(いわゆる「合憲」)という共同の意見を述べている。
平成27年12月16日大法廷・損害賠償請求事件 補足意見(6人連名)
(多数意見に賛同するが意見を補足)
多数意見           『上記当時(サイト管理者注:訴訟対象である平成20年)においては本件規定のうち100日超過部分が憲法に違反するものとなってはいたものの,これを国家賠償法1条1項の適用の観点からみた場合には,憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反することが明白であるにもかかわらず国会が正当な理由なく長期にわたって改廃等の立法措置を怠っていたと評価することはできない』から損害賠償請求は棄却すべきである。 15人中1人(国民審査対象外)の反対意見:『本件規定はその全部が違憲であると考える。』なぜならば、『本件規定がないとしても,父性の推定が重複する子を出産する女性の割合はごく僅かである。』また『近年の医療や科学水準を前提にすれば,生物学上の父子関係の判定は容易にできる』。さらに、『生まれた子にとって法律上の父を確定できない状態がしばらく続くことによる不利益も,少なくとも近年においてはそれほど重大なものとはいえなくなっている。』以上により『原判決を破棄して損害額の算定のため本件を原審に差し戻すのが相当と考える。』
なお他に1人(国民審査対象外)が、損害賠償請求を棄却すべきという点では多数意見に同意するが、本件規定はその全部が違憲であると考えるとの意見を述べている。
平成27年12月16日大法廷・損害賠償請求事件 多数意見 多数意見           本規定(夫婦同氏制)は憲法の13条(個人の尊重)、14条1項(法の下の平等)、24条(家庭生活における個人の尊厳と両性の本質的平等)のいずれにも違反しないので損害賠償請求は棄却すべきである。なお、規制の程度の小さい制度(例えば選択的夫婦別氏制)についても合理性がないとは言えず、国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならない。 15人中1人(国民審査対象外)の反対意見『本件規定は憲法24条に違反し,本件規定を改廃する立法措置をとらなかった立法不作為は国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるべきものであるから,原判決を破棄して損害額の算定のため本件を差し戻すのが相当と考える』
なお他に4人(国民審査対象外)が、本件規定は憲法24条に違反しているとの意見を述べているが、いずれも『国会が正当な理由なく長期にわたって改廃等の立法措置を怠っていたと評価することはでき』ないから損害賠償請求は棄却すべきとしている。
平成28年12月19日大法廷・遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 多数意見 補足意見(5人連名)
(多数意見に賛同するが意見を補足)
補足意見(5人連名)
(多数意見に賛同するが意見を補足)
多数意見       『共同相続人間の実質的公平を図ることを旨とするものであることから,一般的には,遺産分割においては被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望まし』いので『共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。』(サイト管理者注:従来は預金は遺産分割の対象でないので、生前贈与などの特別受益の相殺の対象にならなかったようです。) 15人中1人(国民審査対象外)の意見『預貯金債権を準共有債権と解した(サイト管理者注:ここでは、遺産分割の対象とするという意味)としても,他の種類の債権について本件と同様に不公平な結果が生ずる可能性は依然として残されている。』『相続開始時の全遺産を基礎として各自の具体的相続分を算定し,これから当然に分割されて各自が取得した可分債権(サイト管理者注:ここでは、生前贈与などを顧慮考慮する遺産分割より前に機械的に分割された遺産の一部分のこと)の額を控除した額に応じてその余の遺産を分割し,過不足は代償金で調整するという見解を採用すべき』
この意見は本件取り扱いに限れば多数意見と同じ結論となるので「反対意見」でなく「意見」と呼ばれる。
平成29年9月15日第二小法廷・求償権行使懈怠違法確認等請求及び共同訴訟参加事件       多数意見       『求償権のうち本件返納額(サイト管理者注:不正責任者の退職金返納額や退職金不支給額)に相当する部分を行使しないことが違法な怠る事実(サイト管理者注:「怠る事実」という法律用語があるようです)に当たるとはいえないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。』『(サイト管理者:詳細省略)破棄を免れない。そして,県の教員採用試験において不正が行われるに至った経緯や,(中略),本件不正発覚後の状況等に照らし,県による求償権の行使が制限されるべきであるといえるか否か等について,更に審理を尽くさせるため,上記部分につき本件を原審に差し戻すこととする。』 4人中1人(国民審査対象外)の意見『県は,県教委の幹部職員等から,上記(5)の損害賠償金の財源の一部として,平成23年2月から3月にかけて合計4842万4616円の寄附を受けた』が『原判決によれば,いつの間にかAらに対する請求額から差し引かれ,結果的にその分だけ損害賠償責任を免除するように使われている。』『このような形でトップあるいはこれに準じる者の損害賠償責任が部下に押し付けられるというやり方が,今後,全国にまん延しかねないとも限らないし,今回の判断でそれを裁判所が追認する結果となることを懸念している。』この寄付の分も損害賠償責任を免除するかどうかも含めて,更に審理を尽くさせるために原審に差し戻すべきものと考える。
この意見は本件取り扱いに限れば多数意見と同じ結論となるので「反対意見」でなく「意見」と呼ばれる。
平成29年9月27日大法廷・選挙無効請求事件 多数意見 多数意見 多数意見 多数意見 多数意見 多数意見 意見
いわゆる「違憲状態」
『本件選挙当時,平成27年改正後の本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。』
いわゆる「合憲」
15人中2人(いずれも国民審査対象外)の反対意見
鬼丸氏『違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあった』だけでなく『本件選挙までの間に違憲状態の是正がされなかったことは,国会の裁量権の限界を超えるものとの評価を免れず,本件選挙当時,本件定数配分規定は憲法に違反したものであった。』『(いわゆる「違憲」。無効とはせず)
山本氏『許容されるのは,せいぜい2割程度の較差にとどまるべきであり,これ以上の一票の価値の較差が生ずるような選挙制度は法の下の平等の規定に反し,違憲かつ無効である』本件選挙も無効とし、その場合の経過措置も論じている。
上記反対意見、林氏の意見以外に、国民審査対象外の1人の「違憲状態」とする意見がある。

審査対象判事の意見の一覧

平成27年12月16日大法廷・損害賠償請求事件での大谷直人氏の補足意見(6人連名):
『100日以内部分(サイト管理者注:多数意見で「女性の100日以内再婚禁止」は合憲としている)の適用除外の事由に当たると解される場合は,民法733条2項に直接規定されている場合や従来の戸籍実務において認められてきた場合に限られるものではない』

平成28年12月19日大法廷・遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件での小池裕氏の補足意見(5人連名):
『(サイト管理者注:遺産分割完了前に)預貯金を払い戻す必要がある場合としてはいくつかの類型があり得るから(中略)適切な運用に向けた検討が行われることが望まれる。』

平成28年12月19日大法廷・遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件での木澤克之氏の補足意見(5人連名):
『(サイト管理者注:遺産分割完了前に)預貯金を払い戻す必要がある場合としてはいくつかの類型があり得るから(中略)適切な運用に向けた検討が行われることが望まれる。』

平成29年9月27日大法廷・選挙無効請求事件での林景一氏の意見:
『本件定数配分規定は合憲であったとする点で多数意見に同調する』『多数意見は,平成27年改正後の本件定数配分規定について,(中略),違憲状態を脱したと評価するが,私は,(中略),一の選挙区の有権者の投票価値が別の選挙区の有権者の投票価値の約3倍に達する状態について,そこまでの評価を明言することにはためらいがあるため,多数意見に完全には与することができない。』『平成24年大法廷判決の言渡し時から本件選挙までの間にその解消がなされなかったことが国会の裁量権の限界を超えるとまではいえないと考え,結論として,「本件選挙の当時,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない」とする多数意見に同調する』

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